前回に引き続き、はな笑みの紹介をします。
2022年2月に提供された料理です。今回は事前に予約をしてヴィーガン対応のコース料理をお願いしました。(ヴィーガン対応は2日前までの連絡で頂くことができます。)
前菜 五福豆、雪割青菜、卯の花稲荷、焼き野菜酢ゼリーがけ
とても美味しい前菜の品々でした。中でも、私が一番好みだったのは五福豆でした。材料は牛蒡、金時人参、大豆、こんにゃく、干し椎茸で調理されていました。味付けはみりん、醤油、出汁で野菜の旨味を活かすとてもシンプルな調理方法でした。優しい甘味と煮込んだ際に出るそれぞれの出汁が素材に染み込んでおりとても美味でした。また、素材はとても柔らかく煮込んでありました。私は煮物をする時には、少し食感を残すよう調理していました。今回五福豆を食べて、このように柔らかく煮込んでも美味しく食べることができるのだと勉強になった一品でした。
お椀 薄氷仕立て
豆腐の上に水菜、人参、柚の皮を彩り、薄く切った大根が乗せてありました。だしは昆布とベジブロスが使われていました。とてもあっさりとした味わいの出汁に濃くのある豆腐の味が相まってとても美味しかったです。見た目も綺麗で盛り付けがとても印象的でした。後日、「薄氷仕立て」という和食の技法を調べてみると季節を表現した料理であることが分かりました。水面に薄く張る氷を大根で表し、その下には水菜と人参と柚の黄緑、橙、黄の色味で春の訪れを表現しているものでした。
主菜 自然野菜の胡麻鍋(大根、人参、牛蒡、赤大根、南瓜、冬瓜、キクイモ、里芋、じゃがいも、ターツァイ、長葱、カラフル人参、かぶ、あかねかぶ、キャベツ、水菜、玉葱)
自然栽培玄米ご飯、香の物(コリンキーの漬物、昆布の佃煮)
季節柄、根菜が主役となった鍋でした。優しい出汁の味と胡麻の濃くが相まってとても美味しい鍋でした。今回の鍋の薬味にはみかんの皮を乾燥し粉砕したものが提供されました。それまで濃く深い味わいでしたが、みかんの皮の薬味を入れることで、さっぱりとした味わいに変化し一つの鍋で二つの味わいを楽しむことができました。胡麻鍋の中には白爵かぼちゃが入っていました。この白爵かぼちゃがとても糖度が高く驚きました。私達も白爵かぼちゃを栽培していたため、土地や作り手が変わると野菜の味も変化するのだと改めて実感しました。
デザート さつまいものきんつば 乾燥みかん
パープルスイートと紅はるかの餡を2色の層にして、間に小豆餡を挟んだきんつばでした。前回同様、小豆餡はとても美味でした。また、さつまいもの甘みがとても強いのが印象的でした。甘味は塩で引き立たさせたような甘さでもなく、また砂糖が入っているような甘さとも違いました。尋ねてみると干し芋をお湯で柔らかくして餡にしているとのことでした。また、乾燥みかんは果物ならではのさっぱりとした甘味で、きんつばの口直しにぴったりな一品でした。
はな笑みの料理は、野菜をメインとした彩りも綺麗で華やかな料理でした。野菜の種類も多く色々な味を堪能できるため、野菜が好きな人には是非おすすめしたいお店です。また、丁寧に調理された料理は、嗅覚、味覚、視覚で季節を感じることができました。昨年訪ねた際には宇都宮の秋を堪能し、先日は冬野菜の深みのある濃い味に舌を鳴らしたのと同時に、春がもうすぐ訪れることを目で楽しむことができました。料理の提供の仕方も、前菜、お椀、主菜、デザートが順番に運ばれてくるため、いつもとは違った非日常的な食事に特別な時間を過ごすことができました。1回目訪ねた際には通常のコースでしたが、2回目は事前予約でヴィーガン対応にしてもらいました。植物性食品のみを使用したとは思えないほど味わい深い旨味に舌鼓を打ちました。私達も普段から野菜と穀物を中心とした料理を食べ、自然由来の調味料を使い料理をしますが、料理に精通した方が調理をするとこんなにも美味しく仕上がるのだと改めて感動しました。はな笑みは女性の店主が1人で切り盛りされています。尋ねてみると分かりますが、とても優しい雰囲気の方でその人柄からも、このような丁寧な料理が作れるのだなと感じました。宇都宮市までの道のりは下道で2時間かかりますが、労を惜しまず通ってしまうほどオススメしたいお店ですので、是非みなさんも宇都宮に行く機会がある時には訪ねてみて下さい。
追記
はな笑みの近くには標高458mの羽黒山があります。登山入口から山頂まで整備された林道を歩くことができます。少し急な斜面を上りますが、登山に慣れた人なら1時間もあれば登ることができると思います。私達が訪ねた時には蝋梅が咲く時期でした。梅とは思えないゆりのような優雅な香りと、可愛らしい黄色の花が咲いていました。
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