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執筆者の写真Clover Farm

土地を自分の手で耕すことの重要性

更新日:2021年12月9日


私の好きな言葉に「ただ耕しておれば良い」というのがあります。

これは自然農法家の福岡正信氏の言葉で、福岡氏は人智を否定し、無心になって農作業に励むことを勧めました。40年以上農業に従事し、世界的に有名になった人ですから、そうすることで何か見えてくるものがあると暗示していたのではないでしょうか。


私は畑に行ったら常に鍬で耕すことを意識しています。機械で土を耕すのとは違い手で耕せる範囲は極めて狭いです。しかし、堅い土を手で耕し、そこに鶏糞を入れ出来上がった土地には私にとってとてつもない価値があります。まずそれをしただけで作物がよく育つ土地になっています。二年間草の根も取らず、土も耕さず、肥料も入れず作物を作ろうと試みていたのでその違いがよくわかります。耕した土地は狭い面積でも、そこからは一度に食べきれない、売り切れない程の多量の野菜ができます。小松菜の種を蒔けばそこにびっしり敷き詰められたかのように育つし、南瓜の苗を数本植えれば、十以上のそこそこ立派な南瓜が採れます。また、一度耕した後は、継続して野菜が作れ、次からは深くまで鍬を入れる必要がなく手間が少ないです。


手で耕すことの重要性は、作物が育つ土地を作るのみにありません。一番は自分に返ってくることです。鍬で耕せば足腰が鍛えられますし、土地に愛着が湧きます。また、広い自然の中で人ができることは限られていることを知ります。狭い面積を耕しながら、それ以外の手つかずの草木が茂る広範囲に及ぶ土地を見ていると、多くを望むのではなく限られたもので満足するほかがないと痛感します。ただ耕しているだけなのに気付かされることは多いです。


手で耕すことは非効率に見えますが、丈夫な足腰を生み、少ないものでも満足しなければならない、それらを感謝の気持ちで頂かなければならないと戒めを与えてくれます。これが私にとって重要なのです。福岡氏の「ただ耕しておれば良い」というメッセージの中にはそんなことも含まれているのではないかと想像します。


最後に、私の農家仲間にとても興味深い考えを持つ人がいて、その人はよくこう言います。「足腰が痛くなったら、農作業をするか、筑波山に登れば良い。足場の悪いところで、バランスをとろうとしていると自然に痛みがなくなるから。痛みは自分で治せる。」と。

その人は70代後半の女性で、2反もある畑を最大限に使い、手作業で野菜と果樹を栽培しています。その人は、年齢に限らず強い足腰を保つ秘訣は農作業にあることを証明してくれています。


大箸


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